1950年代末にブラジル・リオを中心に起こった音楽ムーブメント、ボサ・ノヴァ。
その創始者である至高のアーティストが2019年7月6日に亡くなった。
ジョアンの世界はカフェ・ミュージックなどとして巷に溢れる
軽くオシャレなボサ・ノヴァとは一線を画す高度な芸術。
2000年代に入って3度来日している彼がたった一人、
その唯一無二の世界観の音に聴衆を巻き込み虜にしたことも記憶に新しい。
「我が心の偉大なるジョアン」と題されたこのアルバムには
日本でのボサ・ノヴァのパイオニアとして活動してきた中村善郎が
彼への敬愛と哀悼を表現したもの。
ジョアンのレパートリーから9曲と
中村が書き下ろした彼に捧げるオリジナル4曲で構成。
ジョアンを直接に知るブラジルの友人達からも高い評価を受けている中村。
ジョアンのパフォーマンスと同じく
ギターと声という究極の形で表現される
グルーヴとサウダーヂ溢れる世界。
日本のファンだけでなく世界中のファンにアピールする一枚。
Por João (ジョアンに捧ぐ)<original> |
Eu sambo mesmo(エウ・サンボ・メズモ) |
Aos pes da cruz (十字架の下に) |
Eu vim da Bahia(エウ・ヴィン・ダ・バイア) |
João Marcello(ジョアン・マルセロ)<instrumental> |
OBA LA LA (オーバララー ) |
A minha tristeza(私の悲しみ)<original> |
Eclipse(エクリプス) |
Da cor do pecado(罪の色) |
Samba da minha terra(我が故郷のサンバ) |
Chega de saudade(想いあふれて) |
Sem você (あなたなしで)<original> |
Um sorriso tímido(内気な微笑み)<instrumental> |
日本が生んだボサノヴァ・マエストロ。’77~’79年、「広いところへ行きたい」という漠然たる憧れからブラジル及び南米諸国に遊学。現地の酒場で知り合った友人達からボサノヴァ・ギターを学ぶ。同時にポルトガル語によるオリジナル曲の作詞作曲も始める。帰国後、音楽活動を開始。90年よりこれまでにブラジル録音2枚を含む多くの自己のアルバムをリリースした他、レコーディング参加も多数。
ヴェルヴェット・ヴォイスと評される抑制の効いたヴォーカルと本格的なアコースティック・ギターの演奏は国内ばかりでなく、ブラジルをはじめ海外のアーティストからも高く評価され、リシャール・ガリアーノ(acc)、ミウシャ(vo)、ワンダ・サー(vo)、リチャード・ボナ(b)など一流ミュージシャンとも数多く共演している。
朋友ピエール・バルーが「出会い」という歌の中で「中村はジョアン・ジルベルトを彷彿させた…」と歌って以来、「日本のジョアン・ジルベルト」と呼ばれることも。近年はプロデュース・ワークや他ジャンルとのコラボレートも多い。自らのアルバム等で披露している文章の、端正で知的な筆致にも定評がある。4月21日、初めての全編ギター弾き語りによるソロ・アルバム『レンブランサ,エスペランサ(思い出、そして希望)』をリリース、巨匠の風格を見せつけている。
Vocal & Accorstic guitar : Yoshiro Nakamura
Produced by Yoshiro Nakamura / Jamie Nakamura
A&R&Directed by Jamie Nakamura
Recorded at THEGLEE
Recording : Kenta Kumai
Mix & Mastering : Jamie Nakamura
Recording Date:2020/03/16 & 2020/03/19